太陽光発電にメンテナンスは必要?費用相場は?
太陽光発電のメンテナンスは、法律で義務付けられている場合と故障・発電量低下防止のために必要です。義務化されているのはFIT対象外の50kW未満の発電所で、メンテナンスを怠ると認定取り消しのリスクがあります。
太陽光発電における不具合には、経年劣化による発電量の低下やパワーコンディショナーの故障、パネルのひび割れが多く見られます。セルフメンテナンスはリスクが高いため、専門業者に依頼するのが安全です。アフターフォローが充実している業者を選びましょう。
目次
太陽光発電のメンテナンスの必要性とは?
近年、一般住宅でも取り付けられるようになった太陽光発電ですが、実際分からないことが多くて取り付けるのを戸惑っているという方も多いかもしれません。
太陽光発電は取り付けたら終わりというわけではなく、メンテナンスが必要です。その理由は主に2つあります。
◇義務化されている
まず、ひとつ目の理由は法律で義務化されているためです。非FITの50kW未満の太陽光発電所以外は、メンテナンスを受けなければなりません。一方、非FITの50kW未満である完全自家消費の住宅用太陽光は対象外です。
メンテナンス義務のある太陽光発電がメンテナンスを受けていない場合、認定取り消しなどの措置を受ける可能性があります。
しかし、義務化されていなくても故障していないとは限りません。太陽光発電を安全に使用するためにも定期的にメンテナンスしておいたほうが安心して使用できます。
◇故障や発電量の低下を防ぐ
2つ目の理由は、故障や発電量の低下を防止するためです。ソーラーパネルが故障してしまうと修理費用が発生するのはもちろんのこと、利益減少につながります。
また、故障している場合第三者への与えるリスクも高くなるため注意が必要です。例えば、太陽光パネルを留めていたボルトが緩んでいた場合、風で飛ばされてしまい、歩行者に直撃してケガを負わせてしまうケースもあります。
このようなトラブルの発生を防ぐためにも、メンテナンスは欠かさず行うのが重要です。
太陽光発電で発生する不具合とは?
太陽光発電で発生する不具合には、主に以下のような例があります。安全に使用するためにも少しでも異変を感じた場合は、早急に専門業者へ点検してもらいましょう。
◇経年劣化
太陽光発電は経年劣化で不具合が発生するケースが多いです。経年劣化での不具合の事例では、発電量の低下や発電停止があります。パワーコンディショナーの劣化は他の機器よりも劣化が早いため、早めの点検・交換が必要です。
◇故障や漏電
太陽光パネルをはじめ、パワーコンディショナーやケーブルなどの製造不良または施工不良が発見されるケースがあります。こういった不具合があると故障や漏電につながってしまうため、非常に危険です。
基本的に太陽光パネルの製造不良がみられるケースは少ないですが、万が一ということもあります。事故などを防ぐためにも定期的なメンテナンスが重要です。
◇太陽光パネルのひび割れ
太陽光パネルのひび割れも不具合でよくみられます。台風や暴風などが起こった際に石などがパネルに直撃し割れてしまったり、カラスなどが小石を落として割れてしまったりといったケースも少なくありません。
また、経年劣化によってひび割れするケースもあるため注意が必要です。
◇太陽光パネルの発熱
太陽光パネルは影・故障などにより発熱を引き起こし、発電量が下がるケースもあります。発熱が起こる原因は、パワーコンディショナーなど周辺機器の故障によるケースとパネル内部の不具合、接続不良などです。
◇パワーコンディショナーの故障
パワーコンディショナーの故障は経年劣化によるものだけではありません。落雷や塩害による腐食、冷却ファンの目詰まりなどで故障してしまいます。
また、地震でも故障してしまうケースもあるため、大きな地震が着た後は点検してもらうのがおすすめです。
◇断線
太陽光パネルやパワーコンディショナーなどのケーブルの断線による不具合もあります。断線していた場合、発電停止や火災、漏電による感電事故が発生するリスクが上がり危険な状態です。
太陽光発電のメンテナンスにかかる費用とは?
画像出典:フォトAC
太陽光発電のメンテナンスには、次の3つがあります。それぞれ費用相場も異なるため、太陽光発電の導入を検討している方はメンテナンスにどのくらいかかるのか知っておくと、いざというときも安心です。
◇定期点検
まず、太陽光発電のメンテナンスには定期点検があります。定期点検の費用は1回につき1〜2万円ほどです。定期点検では、太陽光パネル・パワーコンディショナー・架台など製品の点検や運転点検、電圧測定、絶縁抵抗測定といった点検を行っています。
また、基本的に住宅用の太陽光発電の場合、メンテナンスの義務はありません。しかし、資源エネルギー庁では4年に1回の点検を推奨しているため、できる限り定期点検したほうが故障などの早期発見につながります。
定期点検で不具合が見つかった場合は、別途修理費用がかかるため、注意が必要です。このとき、修理内容によっても費用が異なるため、事前に業者に確認しておきましょう。
また、屋根上に設置した太陽光発電は火災保険の保証対象となるため、修理する際は上手く利用するのもひとつの手です。
◇太陽光パネルの清掃
太陽光パネルの清掃もメンテナンスのひとつで、費用相場は3~6万円ほどです。太陽光パネルは、砂埃や鳥のフン、花粉などで汚れやすく専門業者への依頼が必要となります。
太陽光パネルの清掃にかかる費用は太陽光パネルの枚数によって変わってくるため、業者にあらかじめ確認しておくと安心です。
◇パワーコンディショナーの交換
パワーコンディショナーは、直流の電気を交流に変換し一般家庭でも使用できるようにする装置のことをいいます。この装置の寿命は大体10~15年とされており、パワーコンディショナーを交換する場合、工事費込みで20~30万円ほどです。部品交換だけでも5~10万円ほどかかります。
また、業者によっては足場代を請求されるケースもあるため、注意が必要です。
セルフメンテナンスは可能?
太陽光発電のメンテナンスには、どうしても高めのコストがかかってしまいます。そのため、少しでもコストを抑えるためにセルフメンテナンスを検討している方も多いかもしれません。そこで知っておきたいのは、太陽光発電はセルフメンテナンスができるかどうかです。
結論からいうと、太陽光発電のセルフメンテナンスはおすすめできません。理由としては、転落事故や雑巾などでパネルを擦ってしまうとパネルにキズを付けてしまうリスクがあります。また、水道水を使用しての清掃もNGです。水道水にはカルキ成分が含まれており、水垢がついて取れなくなる可能性があります。
そのため、メンテナンスにかける費用を抑えようとすると、かえってコストがかかってしまうため、専門業者へ依頼するのが重要です。メンテナンス業者を選ぶ際は、アフターフォローが充実しているか、しっかり確認して選びましょう。
太陽光発電のメンテナンスは、法律により義務付けられている場合と故障・発電量低下防止のために重要です。義務化されているのは、FIT対象外の50kW未満の発電所で、メンテナンスを怠ると認定取り消しの可能性があります。
故障や発電量低下を防ぐためにも定期的なメンテナンスが推奨されます。主な不具合には、経年劣化による発電量の低下やパワーコンディショナーの故障、パネルのひび割れなどがあります。
メンテナンスには定期点検(1~2万円)、パネル清掃(3~6万円)、パワーコンディショナーの交換(20~30万円)が含まれます。セルフメンテナンスはリスクが高く、専門業者に依頼する方が安全です。メンテナンス業者選びでは、アフターフォローが充実しているか確認することが重要です。