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太陽光発電コラム

太陽光発電パネルにはどんな種類がある?

公開:2024.08.08 更新:2024.08.08
太陽光発電パネルにはどんな種類がある?
引用元:フォトAC

太陽光発電パネルの種類は大きく分けると3種類に分かれます。住宅用として使用されることが多い「シリコン系」、低コストで製造できる「化合物系」、常温・常圧で製造でき、大幅なコストダウンが期待できる「有機系」です。それぞれメリット・デメリットがあるので、ニーズに合わせて選ぶことが大切です。

太陽光発電パネルとは?

近年、太陽光発電システムは基本的に住宅やオフィスなどの屋根に取り付けられています。太陽光発電に使用されている太陽光パネルとは、何枚かの太陽電池を直列に接続し強化ガラス・封止材・アルミ枠などでパッケージ化したもののことです。パネルの枚数は必要に応じて変動します。

◇太陽光発電パネルの仕組み

太陽光パネルとはシリコン半導体に光が当たることで、電気が発生する仕組みです。N型半導体(表面)とP型半導体(裏面)という2つの半導体を貼り合わせており、光を当てるとN側にマイナス電子、P側にプラス電子が集まります。

この性質を活用し、それぞれの電極をつなぐことで電流が流れる仕組みをつくっています。

太陽光発電パネルの種類~シリコン系

太陽光パネルにはいくつか種類があります。その中でもシリコン系のパネルは住宅用として使用されることが多いタイプです。さらに細分化すると次の4つのタイプに分けられます。用途や設置場所によって向き不向きがあるため、今後太陽光パネルの取り付けを検討している方は、違いについて覚えておきましょう。

◇単結晶シリコン

単結晶とは、結晶が正しく並んでいるもののことをいいます。このタイプの太陽光パネルは、最初に開発されたパネルで変換効率が高く発電ロスが少ないのが特徴です。他のタイプのものよりも製造コストは高いですが、その分性能が優れています。

しかし、単結晶シリコンは温度の上昇に強くないため、高気温の日の変換効率が低下するのがデメリットです。居住スペースが限られているような都市部の住宅のベランダ・屋根や商業施設の屋上などへの設置に適しています。

◇多結晶シリコン

単結晶をつくる際に発生した端材や規格外の原料を使用してつくられる太陽光パネルのことです。単結晶とは反対に、規則正しく並んでいないため発電量が劣るのと広い設置面積が必要な点がデメリットといえます。

しかし、シリコンの含有量が少なく製造コストを抑えられるため、大量の太陽パネルを搭載する際に使用されます。主に山間部や土地の利用制約があまりないエリアでの利用に適しているパネルです。

◇アモルファスシリコン

名前のとおりアモルファスシリコンを使用してつくられているパネルのことをいいます。ガラスまたは金属片の基盤に薄膜状のアモルファスを形成してつくるのが特徴です。

アモルファスシリコンは光劣化がしやすく、変換効率が低いといったデメリットはありますが、加工性がよいため応用性が高い点がメリットといえます。また、単結晶・多結晶と比べて高気温の日でも変換効率の低下を抑えられるのも魅力です。

◇ヘテロ接合型シリコン

HIT(ヘテロ接合型)という異なる種類のシリコンを使用してつくられたパナソニック製の太陽光パネルです。N型単結晶シリコン半導体の両面にN型・P型のアモルファスシリコンを張り合わせているものです。

単結晶パネルシリコンよりも変換効率が高く、高気温の日でも変換効率の低下も抑えられます。変換効率の低下を抑えられる理由は、異なる性質のシリコンが欠点を補完し合うことで、高い変換効率を実現できるからです。一方で、製造方法が複雑で製造コストが高い点がデメリットとして挙げられます。

太陽光発電パネルの種類~化合物系

シリコン以外では、化合物系の太陽光パネルもあり、化合物系のパネルは「CIS/CIGS」と「CdTe」の2つのタイプに分けられます。

◇CIS/CIGS

CISとは、カドミウム(Cd)・インジウム(In)・セレン(Se)を原料とする化合物半導体でつくられている太陽光パネルのことです。この3つの原料にガリウム(Ga)をプラスした太陽光パネルをCIGSといいます。

シリコン系のパネルと比較すると低コストで製造できる点がメリットです。CIS/CIGSの太陽光パネルは、シリコン系よりも電圧が高いため、直列枚数がシリコン系で4〜8枚必要な場合でも1〜3枚程度の設置で十分な発電が可能とされています。さらに高温や影にも強く、高気温の日や曇りの日でも発電性能が高いのも魅力です。

また、シリコン系のパネルは原料を大量に使用するため、シリコンの供給不足も懸念されている現在、CIS/CIGSへの注目が高まっています。

◇CdTe

CdTeとは、カドミウム(Cd)とテルル(Te)を原料とした化合物半導体を使用した太陽光パネルのことです。CIS/CIGSと同様、変換効率がよくコストパフォーマンスも優れています。高温時も出力が低下せず、薄膜状のため資源にも有効活用できる点もメリットのひとつです。

欧米では普及が進んでいるCdTeですが、有害物質であるカドミウムが含まれていることから国内メーカーでの製造はされていません。

太陽光発電パネルの種類~有機系

太陽光発電パネル

画像出典:フォトAC

有機物を使用した太陽光パネルもあります。有機物系以外の太陽光パネルの製造工程では、ある程度高温にする必要があり、真空装置を使うなどの工程が必要となるケースも多いです。しかし、有機物系の太陽光パネルでは常温・常圧で製造でき、大幅なコストダウンにもつながります。

有機物系太陽光パネルには、有機薄膜と色素増感の2つありますが、この2つはまだ研究段階にある太陽光パネルです。

◇有機薄膜

有機薄膜の太陽光パネルは、プリンターでつくったり着色したりするのも可能になるといわれているパネルです。まだ開発は始まったばかりですが、製造が簡単でさまざまな色・形状のものを実現できるのが魅力です。

シリコン系などの太陽光パネルでは、N型とP型の半導体は二層に分かれているのが特徴です。しかし、有機薄膜タイプでは従来の方法はもちろん、N型とP型の半導体を混ぜ合わせた太陽光パネルも製造できます。

ただし、現段階では変換効率や耐久性が課題となっている段階です。そのため、現在は耐久性を必要としていない用途での実用化が進められています。

◇色素増感

色素増感の太陽光パネルは、光を吸収する色素と電解質層を持つ太陽光パネルです。無機物系の太陽光パネルよりも製造が簡単で安価に量産できるのではないかといわれています。

色素を変えることでさまざまな色の太陽光パネルをつくれるのも魅力です。現在は屋外でのモジュールの暴露試験も実施されており、今後さまざまな分野での活躍が期待されています。


太陽光パネルはシリコン半導体に光が当たることで電気を発生させ、N型とP型半導体が電流を流す仕組みです。

太陽光パネルにはいくつかの種類があり、シリコン系が主流です。単結晶シリコンは高効率で高性能ですが、高温で効率が低下するのが欠点です。多結晶シリコンはコストが低く、大量設置に向いていますが、発電量は劣ります。アモルファスシリコンは高温耐性があり加工性も良いですが、変換効率が低いです。ヘテロ接合型シリコンは高変換効率と高温耐性がありますが、製造コストが高いです。

化合物系にはCIS/CIGSとCdTeがあります。CIS/CIGSは低コストで高温や影に強く、シリコン供給不足の代替として注目されています。CdTeは高い変換効率とコストパフォーマンスを持ちますが、カドミウムが含まれているため、日本では製造されていません。

有機系パネルには有機薄膜と色素増感があります。有機薄膜は製造が簡単で色や形状のバリエーションが豊富ですが、変換効率や耐久性に課題があります。色素増感パネルは製造が簡単で安価ですが、現在は主に耐久性が求められない用途での実用化が進められています。